Hyperledger Fabric - Introduction(上)

Blockchainのプラットフォームでまぁそこそこ知名度あるでしょう…という感じなのだが意外と日本語訳がない。のでやっとく。Bitcoinから切り離されてLinux Foundationで開発されている。未来だ!未来が来たぞ!

Introduction — hyperledger-fabricdocs master documentation

Introduction

Hyperledger Fabricは、高度な機密性、復元力、柔軟性、スケーラビリティを提供するモジュラーアーキテクチャで構成される分散型帳票ソリューションのプラットフォームです。異なるコンポーネントプラグインで拡張できるような実装をサポートしており、エコシステムやネットワーク全体にまたがる複雑さに対応できるように設計されています。
Hyperledger Fabricは、独自の柔軟性と拡張性のあるアーキテクチャを提供しており、ブロックチェーンソリューションとは区別されます。エンタープライズブロックチェーンの未来を計画するにあたってもっとも大切なのは、十分に検証されたオープンソースアーキテクチャを使用することです。Hyperledger Fabricがあなたの出発点です。
初心者ユーザはまず、ブロックチェーンがいったいなんなのか、そしてHyperledger Fabricにはどんな機能とコンポーネントがあるのか、他のブロックチェーンとはどこが異なるのかを理解するためにIntroductionを一読することをおすすめします。
だいたい理解できたら――もしくはBlockChainとHyperledger Fabricについてすでに理解している場合はGetting Startedに進み、デモや技術的仕様、APIなどを調べましょう。

Blockchainとは?

分散型帳票(A Distributed Ledger)

ブロックチェーンネットワークの肝は、ネットワーク上で発生するすべてのトランザクションを記録した分散帳票です。
ブロックチェーン帳票はしばしば分散型と呼ばれますが、これはメンテナンスに協力するネットワーク参加者によって複製されるためです。分散と協力が、リアルな世界でのものやサービスを交換するビジネス手法と等価となる強力な特徴なのは明らかです。
さらに分散型で協調的であることに加え、ブロックチェーンでは情報の記録のみを行います。一旦帳票に追加されたトランザクションは、一意性を保証する暗号化技術を使っているため変更ができません。この不変性は情報の出どころを特定しやすくします。情報がある事象以後変化していないことが明らかであれば、履歴をたどるだけで良いからです。この性質から、ブロックチェーンは証明システムと呼ばれることもあります。

スマートコントラクト

情報の一貫した更新と、全体的な帳票機能(トランザクション、クエリなど)を可能にするために、ブロックチェーンネットワークでは帳票へのアクセス制御を行うスマートコントラクトを使用しています。
スマートコントラクトは単なる情報のカプセル化に使用されるキー・メカニズムというだけでなく、ネットワーク全体をシンプルに保つための機構でもあります。スマートコントラクトは参加者に特定の側面のトランザクションを自動で実行できるようにも記述されています。

たとえば、スマートコントラクトは到着時期によって変化する商品のシッピングコストを記述することができます。両当事者で同意した条件に従って、商品が受け取られると自動的に帳票に書かれているとおりの適切な資金が受け渡されるのです。

コンセンサス

帳票はトランザクションが適切な参加者に酔って承認されたときにのみ更新されなければなりません。また、ある帳票が更新されたら、他の帳票も同じ順序で同じトランザクションを更新しなければなりません。これを確実なものにするため、ネットワーク上で帳票のトランザクションを同期させるプロセスをコンセンサスと呼びます。
我々はこの章以後に帳票、スマートコントラクト、コンセンサスの詳細を説明しますが、今の段階ではBlockchainとはスマートコントラクトによって更新され、コンセンサスと呼ばれるプロセスを通じて継続的に同期される、共有・複製されたトランザクションシステムだと思っていれば十分です。

なぜブロックチェーンは有用なのか?

現在の(一般的な)記録システム

現在の業務ネットワークはビジネスの記録が保存されるようになって以来、ほとんど進化していません。ビジネスネットワークのメンバーはお互いに取引を行いますが、彼らは彼らのトランザクションに従って別々に記録をメンテナンスしています。そして彼らが取引したものは、たとえそれが16世紀のフランダースタペストリーであっても、現代の有価証券であってもそれぞれの場合において売買したことと、所有権が明らかでなければなりませんし、商取引は立証されていなければなりません。

現代の技術によってこれらのプロセスは、石や紙からハードドライブやクラウドプラットフォームへうつりました。しかし、基本的な構造は変わっていません。ネットワーク参加者のIDを管理する統一されたシステムは存在しません。もし仮に実現したとしても、有価証券の売買に数日を要します(その間に世界では数兆ドルの取引がおこなわれます)。契約はサインが必要ですし、手動で行われなければなりません。またこのようなシステムのそれぞれのデータベースには単一の情報が格納されているため、単一障害点が存在していることになります(障害が発生した場合に、すべてのシステムが止まります)。
ビジビリティと信頼性が明らかに必要とされているにも関わらず、今でもまだ情報へのアプローチ方法は十分ではなく、記録システムをビジネスネットワーク全体にまたがって構築するのは不可能です。

ブロックチェーンの特徴

もし仮にビジネスネットワークが、ネズミの巣のような「近代的な」取引システムと評される非効率なシステムのかわりに、ネットワーク上のIDによって確立され、取引を実行し、データを保管する標準的な方法があったとしたら? もし仮に一旦行われたら二度と変更されることのない、信頼のおける取引のリストを元に資産のでどころを確定できるとしたら?
そうすると、ビジネスのネットワークはこのようになります(中央に認証する機関を置く必要がなくなります)

これがブロックチェーンネットワークです。このネットワークの参加者は全員帳票を複製して所有します。帳票の情報はシェアされるだけでなく、更新のプロセスも共有します。現代のシステムのように参加者がプライベートなやり方でプライベートな帳票を更新するわけではありません。ブロックチェーンシステムでは方法も帳票の更新も共有します。
共有された帳票をつかってビジネスネットワーク上で協調することができるようになると、ブロックチェーンネットワークは時間とコストとリスク――これはプライベートな情報そのものです――を削減し、信頼性とビジビリティを向上させることができます。
あなたはもう、ブロックチェーンがいったいどんなもので、なぜ有用なのかがわかったことと思います。他にも色々と重要なことはありますが、それらは情報の共有とプロセスの基本的なアイデアにもとづいています。


あとでもうちょっとこなれた訳にするかも。後半は後日。Hyperledgerとはなにかというはなしになるみたいです。